やさしいビタミンCの知識

ビタミンCと同じ働きを持つものにはどんなものがあるの?

ビタミンC(アスコルビン酸)は水に溶けやすく,空気に触れたり,熱が加えられたりすると壊れやすいという性質を持っています.そのために,油に溶けやすい性質,壊れにくい性質,または両方の性質を持ったビタミンC(アスコルビン酸)誘導体というものが開発されています.ビタミンC誘導体は,ビタミンC分子に他の分子を結合させて,ビタミンCの欠点を改良したものです.ビタミンC誘導体には,体の中に入ると体の酵素によって結合していた分子が離れ,ビタミンCとなって働くものと結合していた分子が離れずにビタミンC誘導体として働く(ビタミンCではない働き)ものがあります.


食品に添加しても良いビタミンC誘導体は,L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル,L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル,L-アスコルビン酸2-グルコシド*の3つしかありません.L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルとL-アスコルビン酸ステアリン酸エステルは油に溶けやすい性質,L-アスコルビン酸2-グルコシドは壊れにくい性質を持った誘導体で,いずれの誘導体も酵素によって結合していた分子が離れ,ビタミンCとなって働きます.

化粧品に利用されるビタミンC誘導体には,リン酸アスコルビルMg,アスコルビルグルコシド*,2-O-エチルアスコルビン酸,3-O-エチルアスコルビン酸など非常に多くの種類があります.リン酸アスコルビルMgとアスコルビルグルコシドは壊れにくい性質を持っています.これらの誘導体は酵素によって結合していた分子が離れ,ビタミンCとなって働きます.また,2-O-エチルアスコルビン酸と3-O-エチルアスコルビン酸は油に溶けやすい性質と壊れにくい性質を持っています.これらの誘導体は酵素によって結合していた分子が離れずにビタミンC誘導体として働きます.つまり,化粧品に利用されるビタミンC誘導体にはビタミンCとなって働くものとビタミンCではない働きのものがあります.

* 同じ物質ですが,食品添加物表示名称と化粧品表示名称で示しています.

[田井 章博]