やさしいビタミンCの知識

“合成ビタミンC”って,どこで,どうやって作られるの? “天然ビタミンC”と同じなの?

ビタミンCは,アセロラやキウイフルーツなどの果物,ピーマンやブロッコリーなどの野菜,いも類などに多く含まれています.一方で,ビタミンCは,りんごジュースやお茶などの飲料,肉や魚などの食品,化粧品,栄養補給のためのサプリメントや医薬品など、私たちの身の回りにある多くの製品に広く用いられています.

さて,果物や野菜に含まれるビタミンCは,当然“天然ビタミンC”なのですが,飲料・食品・化粧品・サプリメント・医薬品などに使用されるビタミンCは,果物や野菜から取ってきたものなのでしょうか?じつは,これらほとんどの製品には,工業的に作られた“合成ビタミンC”が使われています.その多くは,トウモロコシに含まれるd-ソルビトールという成分を出発原料として,微生物による発酵法により作られています.

この“合成ビタミンC”ですが,2000年初頭までは日本でも製造されていましたが,設備の老朽化などの原因で製造を中止してしまいました.さらに主要なビタミンC生産国であった米国やデンマークでも製造中止が相次ぎました.そのため,現在では,世界で流通している“合成ビタミンC”は,なんと90%以上が中国,そして残りはスコットランドで製造されているのです.

ところで,“合成ビタミンC”ですが,天然ビタミンCと全く同じ形(構造)をしています.ビタミンEですと,天然と合成とで光学活性が違います.それに伴いヒトの体の中で合成では反応力が若干弱く,取り込み量も若干少ないなどの違いがあります.しかし,ビタミンCに関しては合成と天然でまったく同じ構造なので,安全性や効能に違いはありません.私たちは,天然という言葉に信頼感があり,合成という言葉に少し不安を持ちますが,ビタミンCに関しては,天然と合成での違いは無く,どちらでも,安心して摂取できます.

[田村 元]