やさしいビタミンCの知識

摂取基準とは? 一日のヒト(成人)のビタミンC摂取量は?

私たちに必要な栄養素をどのくらい摂取したらよいかの基準が「日本人の食事摂取基準2020年版」に示されています.この日本人の食事摂取基準は健康の保持・増進,生活習慣病の発症予防及び重症化予防に加え,高齢者の低栄養予防やフレイル予防のために,厚生労働省が策定したものです.摂取基準では5つの指標が使われています.栄養素の摂取不足を回避するのが目的の指標には推定平均必要量推奨量目安量が,過剰摂取による健康障害を回避するのが目的の耐用上限量,生活習慣病の発症予防するのが目的の目標量です(図1参照).

図1 食事摂取基準の各指標(推定平均必要量,推奨量, 目安量,耐容上限量)を理解するための概念図

推定平均必要量:ある対象集団での必要量の平均値の推定値で,集団の 50% の者の必要量
推奨量:推定平均必要量をもとに算出され,集団のほとんどの者(97〜98%)が充足している量
目安量:集団の栄養状態を維持するのに十分な量(十分な科学的根拠が得られず推定平均必要量が算定できない場合に定められる)
耐用上限量:習慣的に摂取しても,健康障害がもたらされない上限の量(この量を超えて摂取すると健康障害のリスクが高まる)
目標量:生活習慣病の予防を目的として定められた量

「日本人の食事摂取基準2020年版」では成人のビタミンCの推奨量は100㎎と定められています.心臓血管系の疾病予防効果及び有効な抗酸化作用を示す摂取量の85㎎を推定平均必要量として,成人の1日当たりの推奨量が算出されました.推奨量には男女の差は設けられていません.耐容上限量は定められていませんが,過剰な摂取による影響には吐き気,下痢,腹痛などがあります.妊婦の付加量は1日当たり10㎎,授乳婦の付加量は45㎎です.

健康の保持・増進のために成人はビタミンC100㎎を毎日摂取することが望まれています.

[鈴木 惠美子]