ビタミンCはどうやって消化、吸収、代謝されるの？

ビタミンCは，ヒト，サル，モルモットでは，ビタミンとして必要としますが，他の動物では体内で生合成されます．ヒトでは，摂取されたビタミンCは，消化管から速やかに吸収され，特異的な能動輸送機構により，各組織に運ばれ貯留されます．ビタミンCには，還元型(アスコルビン酸)と酸化型(デヒドロアスコルビン酸)があります．ヒトでは，ビタミンCは主に小腸から吸収され，組織中のビタミンCは，大部分は還元型として存在します．還元型と酸化型の相互変換は，生体内で可逆的です．ビタミンCを1日当たり180 mg経口摂取したとき，尿中へのビタミンC排泄量を指標としてみると，80-90%吸収されます．しかし，1,000 mg以上，5,000 mgまで摂取量を増量すると，吸収率は漸減し，21%まで低下します．しかし，吸収量は増大します．健康なヒトにおけるビタミンCの体内蓄積量(体重60㎏当たり）は，100 mg程度のビタミンCを毎日経口摂取すると，約1,500 mgです．その時のビタミンCの代謝回転率(％体内プール量/日）は約3%です．ビタミンC 400 mg/日を毎日経口摂取すると血漿と血球のビタミンCは飽和され，過剰な分は尿中に排泄されます．腎における血漿のビタミンC排泄閾値は，男性で1.51 mg/dL，女性で1.25 mg/dLです．

ヒトをビタミンC欠乏食にすると4週間で血清ビタミンC値は，ほぼゼロとなりますが，白血球のビタミンC濃度は，16週間後にほぼゼロになります．そして，壊血病の症状が出現します．ヒトの血漿中ビタミンCは，約95%が還元型として存在しています．ビタミンC代謝産物の大部分は，尿中に排泄されます．ビタミンCの分解は，酸化型を経てラクトン環が開き，2,3-ジケト-L-グロン酸に変化します．2,3-ジケト-L-グロン酸は，酸化型に戻ることはなく，最終的にシュウ酸などに代謝されます．ビタミンCは代謝産物とともに，そのままの形でも尿中に排泄されます．

 

参考文献：
Wilson.JX: Annu Rev.Nutr. 25.105-125, 2005.
ビタミン総合辞典　日本ビタミン学会編　朝倉書店
第16改正　日本薬局法解説書　廣川書店刊

［佐久間 長彦］